外壁の劣化

【コラム】定期報告制度が充実しても、外壁落下事故は起こります

外壁打診調査協会 理事の和田 裕です。

先日、友人から、こんなメッセージが届きました。

「突然ですが質問。
近所のマンション、通りかかかったらタイルが落ちてきた。
見上げると、柱と梁の接合部?からタイルが剥がれてる。
これって危なくないのかな?
写真も送るね~。」

送られてきたのが、この写真です。

 

タイル落下

 

危なくないのかな???
どころではなく、お前が大変危ない目に遭っているではないか!
と思わず遠隔ではありますが大声で突っ込んでしまいました(笑)

この建物、築年数はごく浅いようです。

友人によると、十年どころか五年も経っていないのではないか、
とのことでした。

経年劣化より、施工不良が疑われる案件です。
私の知人の周囲でこのような事故が起き(しかもその瞬間!)、
その確率を考えると、外壁の落下事故は、全国レベルで
頻繁に起こっているのではないかと感じました。

 

セミナーの準備のたび、定期的に外壁の落下事故を調べている
のですが、今回も興味深い資料が見つかりました。

次回に続きます。

 

切羽詰まってからでは遅い?

協会理事の和田です。

私は一級建築士として住宅やマンションの設計をしております。事務所は
横浜ですが、数年前、近所の分譲マンションが大規模修繕の時期を迎えました。

関連業種なので、所有者から管理組合の集まりに参加するよう要請され、
修繕までの一部始終を目の当たりにしました。

不足気味の予算の使い方に色んな意見が集まり、話はなかなかまとまらず、
何年もの時間を要しました。

根拠はないものの説得力がなぜかあったのが、以下の居住者さんの意見です。

 


「ウチのマンションはキレイだし、まだまだ大丈夫」

→見た目よりも、見えない痛みがヤバイのに・・・ 

「工事中に監督も『このマンションはしっかり工事しているから大丈夫ですよ』
って言ってたから平気なんですよ」

→そりゃ、監督もそう言うしかないでしょう・・・

 

確かに、そのマンションは交通量の多い場所の割に、外観がキレイでしたが。

すったもんだが続いて嫌気が差してきた頃、ある日「大規模修繕工事計画推進」
で全員一致となる、きっかけとなる事件がありました。

「外壁のタイル剥落」事件です。

居住者の皆さんがよく通る、非常にわかりやすいところに、2枚のタイルが
落ちて割れていました。

 

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「さすがにこれは危ない」と理事会の意見がまとまり、長年の懸案だった
大規模修繕が実現したのです。

いいタイミングでタイルが剥がれたことで、めでたく修繕話が進んだ、

と思ってしまいがちですが、これは、危機感を抱くのが遅すぎた、
と見るべきでしょう。

居住者や、通行人の上に落ちていたら、軽症では済まされません。
人を傷つけるだけでなく、補償問題にもなります。

企業や公共の建物であったなら、企業や自治体のイメージを大きく損ないます。
先日の札幌での看板落下事件では、企業トップが記者会見を開いて
公式に謝罪しましたが、一時的にせよイメージダウンは避けられません。

これまで、当協会の外壁打診調査事業者、打診調査士は多くの建物を調査して
いますが、驚くほど多くの「不適」箇所が各建物から指摘されています。

特に、竣工後、外壁修繕等から10年経過した建物は、
建物のどの部分からタイルや外壁が落下しても、おかしくない状態
であると言えます。

 

「切羽詰まってから、修繕しよう」には、多くのリスクが潜んでいます。

 

特に危険な箇所には「部分補修」という手段もありますので、
「建物の経年劣化」に思い当たる節のある方、まずは外壁打診調査を
受けてみてはいかがでしょうか。

当協会の事業者、調査士なら、足場をかけるケースよりも格段に安価で
調査をすることが可能です。

 

外壁が落下する事故が多発

外壁打診調査協会、理事の和田です。

最近、外壁や看板が落下する事故が多発しています。

先月10日、新宿・歌舞伎町の市街地にて、築40年近いビルの外壁の
一部が20mの高さから落下しました。

 

落下写真

 

 

 

 

 

幸い、けが人は出なかったものの、危うく難を逃れた人もおり、また
事故が大きく報道されたこともあって、世間の関心が高まりました。

また、同じく先月中旬、札幌市で高さ15mから金属製の看板が落下。
こちらは、歩行者の女性の頭部に直撃し、女性は今も意識不明です。

これらの事故を受け、各自治体では看板や外壁の緊急調査に着手しています。

 

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その様子は、NHK番組・クローズアップ現代でも取り上げられ、

外壁落下・看板落下事故に対する注目度の高さが窺えます。

当協会では、私たちの提唱する、無足場工法による外壁打診調査が、
こういった事故の予防に大きく寄与すると考えています。

建築基準法では、10年に一度、建物の外壁を全面打診調査することが
義務づけられていますが、

「足場コストがかさみ、費用負担が大きい」というイメージで
受け止められ、二の足を踏むビルオーナーさんが多いのが現実です。

しかし、ロープブランコによる外壁打診なら、足場工法の1/3~半分の
低コストで調査が可能。

この工法の知名度を上げていくことで、手軽に外壁打診調査を利用して
頂けるようにすることで、建物と街の安全を保つことに寄与できる。

当協会は、この理念の元に活動を展開しております。

2月の一連の落下事故に関しては、協会として今後も関心を持って情報を
収集し、続報などもお届けしていきます。

2015-03-31 | Posted in News&Columns, 外壁の劣化, 新着情報

 

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