大規模修繕と外壁調査
切羽詰まってからでは遅い?
協会理事の和田です。
私は一級建築士として住宅やマンションの設計をしております。事務所は
横浜ですが、数年前、近所の分譲マンションが大規模修繕の時期を迎えました。
関連業種なので、所有者から管理組合の集まりに参加するよう要請され、
修繕までの一部始終を目の当たりにしました。
不足気味の予算の使い方に色んな意見が集まり、話はなかなかまとまらず、
何年もの時間を要しました。
根拠はないものの説得力がなぜかあったのが、以下の居住者さんの意見です。
「ウチのマンションはキレイだし、まだまだ大丈夫」
→見た目よりも、見えない痛みがヤバイのに・・・
「工事中に監督も『このマンションはしっかり工事しているから大丈夫ですよ』
って言ってたから平気なんですよ」
→そりゃ、監督もそう言うしかないでしょう・・・
確かに、そのマンションは交通量の多い場所の割に、外観がキレイでしたが。
すったもんだが続いて嫌気が差してきた頃、ある日「大規模修繕工事計画推進」
で全員一致となる、きっかけとなる事件がありました。
「外壁のタイル剥落」事件です。
居住者の皆さんがよく通る、非常にわかりやすいところに、2枚のタイルが
落ちて割れていました。
「さすがにこれは危ない」と理事会の意見がまとまり、長年の懸案だった
大規模修繕が実現したのです。
いいタイミングでタイルが剥がれたことで、めでたく修繕話が進んだ、
と思ってしまいがちですが、これは、危機感を抱くのが遅すぎた、
と見るべきでしょう。
居住者や、通行人の上に落ちていたら、軽症では済まされません。
人を傷つけるだけでなく、補償問題にもなります。
企業や公共の建物であったなら、企業や自治体のイメージを大きく損ないます。
先日の札幌での看板落下事件では、企業トップが記者会見を開いて
公式に謝罪しましたが、一時的にせよイメージダウンは避けられません。
これまで、当協会の外壁打診調査事業者、打診調査士は多くの建物を調査して
いますが、驚くほど多くの「不適」箇所が各建物から指摘されています。
特に、竣工後、外壁修繕等から10年経過した建物は、
建物のどの部分からタイルや外壁が落下しても、おかしくない状態
であると言えます。
「切羽詰まってから、修繕しよう」には、多くのリスクが潜んでいます。
特に危険な箇所には「部分補修」という手段もありますので、
「建物の経年劣化」に思い当たる節のある方、まずは外壁打診調査を
受けてみてはいかがでしょうか。
当協会の事業者、調査士なら、足場をかけるケースよりも格段に安価で
調査をすることが可能です。